ヴェルク - IT起業の記録

受託開発と自社サービスの両立への取り組み

13期振り返り

2023年11月に13期が終わったので、毎年書いている定点観測的な振り返りです。

board事業

2024年1月8日現在、boardの有料登録社数は4999社なので、たぶんじきに5000社に行くのではないかと思います。

昨年は、インボイス制度対応で忙しい1年でした。

業界的には法改正を商機として盛り上がっていたのですが、boardは今まで通り営業もせず広告も出さず淡々とやっていたので、堅調に伸びたという感じでした。

ただ、9〜11月だけは、駆け込み需要でかなり登録数が多く、この3ヶ月間はサポートも非常に忙しかったです。

今後も、基本的なスタンスは変わらず「10人の会社で1万社が使うサービスを目指す」というかたちで、事業の成長を人数に依存せず、システムやサポートの「質」で堅実に伸ばしていこうとしています。

boardの開発

やはりインボイス制度関連の対応がメインの1年でしたが、その対応のために、書類関連の設定の柔軟性が向上したのが、システムとしては大きな進化でした。
また、それ以外にも、HubSpot連携や外部ストレージ連携(Box・Dropbox・Googleドライブ連携)といった周辺サービスとの連携を進めていました。

HubSpot連携は昨年の夏にリリース済みで、順調に利用者数が増えています。boardはSFAではないので、簡易的な営業管理はできるものの、しっかり営業管理をやりたい場合はboardだけでは物足りなくなります。そのような場合に、「まずはHubSpotで営業管理をしつつ、見積もりを作成する段階から徐々にboardに移っていく」という使い方ができるようになりました。

boardの営業管理機能を強化していくという選択肢もありましたが、ニーズが多様な印象な上、営業がいない弊社ではドッグフーディングできません。そのため、営業管理分野に手を広げてもあまり良いものにならないなと感じていました。そのため、board自体の営業管理機能を強化していくのではなく、外部のサービスと連携するという選択をしました。

外部ストレージ連携(Box・Dropbox・Googleドライブ連携)は、各サービスの審査などがあり、公開は年明けから順次公開していく流れになりそうです。

 

また、予定していたインボイス制度関連の開発がひと通り終わった後、昨年後半の3〜4ヶ月ほどは、インボイス制度関連の急な対応ができるように大きな開発には着手せず、既存機能の細かい改善を集中的に行う期間としていました。
主に、要望や問い合わせが多いものを中心に、長年対応したいと思いつつ着手できていなかったものを対応できたため、個人的にはかなり満足度が高い取り組みになりました。

以前からずっと、新規の開発を止めて既存機能を集中的に改善する期間を設けたいなと考えていて、それに近いことができました。こういった改善は、問い合わせの軽減にも繋がるし、(おそらく)既存ユーザーさんの満足度や業務改善にもプラスになるので、毎年2ヶ月間くらいは集中的に既存機能の改善月間を設けたいところです。

boardのアクセシビリティー改善

以下は2022年に書いたブログですが、基本的にはこの延長線上の取り組みを継続しています。

tamukai.blog.velc.jp

一昨年にいくつかの画面で集中的に改善を行い、そこでの改善を他の画面にも展開していきました。昨年はひたすら、他の画面のアクセシビリティーチェックと、見つかった問題の改善を行っていくという1年でした。

画面数が多いので、全画面をチェックし終わるまではまだまだかかりそうですが、継続的に進めています。

また、見積書や請求書などの書類PDFで使用するフォントにUDフォントを導入しました。モリサワさんに用途などを伝えて相談し、「UD新ゴ」などのUDフォントが使えるようになりました。

the-board.jp

また、アクセシビリティカンファレンス福岡のスポンサーもやりました。残念ながら現地には行けなかったのですが、とても盛り上がったようです。

fukuoka.a11yconf.net

昨年は、アクセシビリティー関連の勉強会・イベント・書籍などもかなり増えた印象で、とても良い流れだなと感じています。

boardのサポート

昨年のCSチームは「CSキャリアが長いメンバー」「元編集者で文章のプロ」「元経理」という3人で構成されており、かなりチーム力が上がっていて、僕の出番はだいぶ少なくなりました。

昨年はサポート対応の中でもインボイス制度関連の話題が非常に多く、元経理のメンバーが大活躍だったのですが、2024年1月に経理経験者がもう1名入社したので、さらに業務知識・経験面を強化できそうです。

 

一昨年に、障害時を想定したサポート対応訓練を実施し、そのときの内容を以下に書きました。

tamukai.blog.velc.jp

その後何度か類似の障害対応訓練を行い、障害時の対応はある程度慣れてきたこともあり、昨年は、急に僕が不在になった(連絡がつかなくなった)場合を想定した準備を進めました。

boardはもともと僕の1人プロジェクトとして始まり、4年目くらいまではほぼ1人で開発からサポートまでをやっていたこともあり、サポート対応の中でのエスカレーションなどは、まだ僕のみが担っている部分が残っていました。

その部分の体制の冗長化として、APIなど技術系の話題を他のエンジニアが見られるようにしたり、運用上、僕だけが担っていた部分をチーム全体で対応するようにしていくなど、洗い出し・対応方針の整理・引き継ぎなどを進めていきました。

ある程度準備ができたタイミングで、「交通事故に遭った」想定で予定外に2日間対応できないこととして実際に運用してみるなど、徐々に運用体制を移行していきました。

*その後、僕がコロナに感染してかなり症状がひどかったので、数日間まったく対応できないという状況になったのですが、混乱なく運用できたので、ほんと準備は大事ですね。

IRQuA事業

2022年4月に、大学IR向けのサービス「IRQuA(イルカ)」というサービスをリリースしていて、昨年は2年目でした。

この事業には、僕は相談に乗る程度で直接関わっておらず、取締役の津久井がメインとなって進めています。

共同研究を行っている大学教授との取り組みや学会発表などを通じて、大学IR界隈で徐々に認知度も向上しており、引き続き、伸ばしていきたいと考えています。

ターゲットが大学ということで、boardとはまったく違うアプローチが必要で興味深いです。

受託事業

受託事業は、開発系とデータ分析支援系とありますが、最近はもっぱらデータ分析支援系がメインです。

開発系は、基本的には新規のお客さまの仕事は受けておらず、既存のお客様の追加開発などが中心です。

データ分析系は、もともとは小売業界から始まったのですが、最近は圧倒的に大学関係が多く、こういった部分が前述のIRQuA事業に繋がっています。

採用

2024年1月にboardのCSチームに1名入社し、CSチームが4人体制になりました。経理経験者、しかも過去2社でboardを導入した経験があるということで、よりCSチームを強化できそうでとても楽しみです。

これまでの採用活動は、基本的に僕が中心に進めていたのですが、今回はCSチームが中心となって進め、募集時の下記の記事もCSチームで執筆しました。

www.velc.co.jp

各種活動への支援・寄付

2019年にカラーユニバーサルデザイン機構の企業賛助会員になったことをきっかけに、以下の支援を継続しています。

  • カラーユニバーサルデザイン機構
  • GitHub SponsorsやOpen Collectiveを通じたOSS活動の支援
  • Rubyアソシエーション
  • Railsガイド
  • 大阪大学 スチューデント・ライフサイクルサポートセンター

 

 

というようなかたちで、無事に13期目も終了しました。

今後も引き続き、地道により良いものを作っていきたいと思います。