ヴェルク - IT起業の記録

受託開発と自社サービスの両立への取り組み

競合ではなくユーザと業務の現場をみてサービス開発する

昨年ぐらいから、「◯◯さん、ものすごくboardを意識して、調査しているらしいですよ。やっぱり競合として意識しているんですか」みたいなことを言われることが増えました。

2年ほど前までは、競合ではない分野のB2BのSaaSの人たちから、「開発ロードマップの公開」「即レスのチャットサポート」「サポートの回答時間の公開」などの取り組みに興味を持って頂いて、「真似させてもらいます!」みたいなことを言われることはあったのですが、ここ1年ほど、明確に「競合」という言葉が出てくるようになって、ようやくそういう土俵に上がるようになってきたのかなあと思ってたりします。
たぶん2年前は存在を認識されていないw

最近、飛ぶ鳥を落とす勢いの某サービスの人から、「競合さんが、サポートに根掘り葉掘り仕様の質問をしてくる」という話を聞いて「なんだかなあ」と思ったのもあったので、自分の考え・スタンスを書いてみました。

競合はほとんど見ていない

boardの開発にあたっては、競合サービスはほとんど見ていません。

boardの場合、競合が請求書サービスなのか販売管理システムなのか微妙なところですが、多くの人は、「請求書」を入口にサービスを探しているようなので、たぶん競合は請求書サービスなんだと思います。

ちなみに、いくつかの請求書サービスのアカウントは持っていますが、元々boardを開発する前はそれらを使おうと思っていたので、その時に作成しました。

なぜほとんど見ないかというと、実際それらのサービスが自分が求めているものであればboardは作っていないですし、欲しいものと違った(自分自身の課題は解決できなかった)からboardを作り始めたわけです。

なので、他のサービスを見て真似していたらダメだし、影響を受けてブレてしまうのが怖い。

boardはboard。

他のサービスがどういう機能を追加していようがあまり関係ないことかなと思っています。

思想のないツギハギでは使い勝手が悪いわけで、同じ課題に対してでも、boardのアプローチと他のサービスのアプローチは異なります。

であれば、あまり競合を見る意味もないですし、その時間はコードを書いてたいという感じです。

大事にしているのは機能の有無ではなく世界観・居心地・体験

同じ分野の業務システムを作っていると、最終的にはある程度同じ機能をカバーするようになってきます。

そうすると差別化要因は機能の有無ではなく、そのサービスを通してどういったことを実現しているか、という点だと思っています。

例えばboardは、「クラウド上で請求書を作ること」が実現したいことではありません。

すごく曖昧なのですが、単に機能ということではなく、解決しようとしている課題や、サポート・開発・運用のスタンスなどを含め、「boardの世界観」みたいなものを大事にしている感じです。それは真似するものではなく、自分たちで作り上げていくもの。

とある人に要望をもらった際に、「boardの"適度な自動化と適度なゆるさ"を考えるとこんな感じじゃないですか」って言われてすごく嬉しくなりました。boardが目指しているものが伝わっているような気がして。


ターゲットとするユーザ・課題を明確にして、そこを見て開発する

boardは、ある程度業態を絞って、そこに最適化することで、機能的にも使い勝手的にもフィットする人にはものすごくフィットする、というサービスを目指しています。

それは汎用的でマスを狙った請求書サービスや販売管理システムとは別の方向だと思っているので、競合サービスを見ても、そういったものは出来上がってきません。

「競合が実装している機能 = boardユーザにとってニーズがある機能」とも限りません。派手な機能をリリースして注目を集めたけど、実際ユーザはあまり使っていないという話も聞いたりします。

ユーザのニーズは現場にしかないし、ユーザの不満・不便はユーザからしか吸い上げられないと思っています。

それは、アンケートとかそういった形式的な手法によるものではなく、サポート等を通じて直接肌で感じるべきで、そのために、僕自身がずっとサポートをやっています。

これまで1〜2週間に1回程度のリリースを繰り返してきていますが、その多くは、サポートの中で出てきた要望やアイデアです。

そして自分自身もターゲットユーザなので、ドッグフーディングしながら実装に落とし込んでいきます。

「この機能は失敗した。作り直したい」「この機能不要だった」と思ったことや、ユーザさんから「使いにくい」「業務と合っていない」と言われることなどは、この3年間ほとんどありませんでした。

それはこういう取り組みの成果なのかなと思っています。

まとめ

抽象的は話になってしまっていますが、「他のサービスよりちょっと使い勝手が良いもの」を作りたいわけではなく、既存のサービスでは解決できなかった問題を解決したいと思ってサービス開発をしています。

そのためには、ユーザや現場の業務と向き合うことが大事なんじゃないかなと思っています。

 

あと、完全に個人的な意見ですが、いち作り手として、真似して作るのは面白くないですよね。