ヴェルク - IT起業の記録

受託開発と自社サービスの両立への取り組み

12期振り返り

2022年11月に12期が終わったので、毎年書いている定点観測的な振り返りです。

board事業

2023年1月16日現在、boardの有料登録数は4400社ちょっとです。これまでと同様、営業もせず広告も出さずに地道にやっていて、約2ヶ月に100社純増というペースが続いています。

昨年、4000社を突破した際のブログです。

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基本的なスタンスはずっと変わらず「10人の会社で1万社が使うサービスを目指す」というかたちで、事業の成長を人数に依存せず、システムやサポートの「質」で堅実に伸ばしていこうとしています。

boardの開発

メール送信機能のリニューアルやインボイス制度対応など大きなトピックもありつつ、セキュリティー・パフォーマンス・内部的な改善などの表に見えない部分への投資をかなり行った1年でした。

セキュリティー面では、これまでで最も投資できて、今年も同水準の投資を継続していく予定です。

パフォーマンス面では、発生割合は非常に低いものの(全アクセスの0.01%未満)、いくつかの条件が重なったときに、劇的に遅くなる既知の問題がありました。地道にログを追っていき、これの原因を見つけて解消できた等、いくつか手応えのある対応ができました。

引き続き、「既存機能の改善」「新規の機能追加」「内部的な改善」をバランス良く行っていきたいと思っています。

boardのアクセシビリティー改善

「開発」の一環ではありますが、boardのアクセシビリティー改善を継続的に行っており、少しずつかたちになってきたかなと思います。

昨年10月に、これまでのアクセシビリティー改善の取り組みや現在地についてを書きました。

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boardのサポート

2021年12月に経理経験者が加わり、非常に強いチームになった1年でした。

現在のCSチームは「CSキャリアが長いメンバー」「元編集者で文章のプロ」「経理経験者」という3人で構成されています。チーム全体としてboardのサポートに必要なスキル・経験をカバーしつつ、みんな文章力も高く、日々より良い対応ができるようレビュー・フィードバックしあっていたり、過去の問い合わせの深堀りや文章講座を行うなどして、まだまだ良くなりそうです。

最近は、僕の出番はめっきり減りました。

また、障害時に備えた対応訓練をできたのも、とても良かったです。これについては、以下に詳しく書いています。

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boardのお問い合わせ窓口の仕組み

2021年に、boardのお問い合わせ窓口を自社開発に切り替えました。

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これ以降、主にCSチームの業務効率化やミスを防ぐための改善を行っています。

サポート業務は、気をつけないといけないことが非常に多岐にわたっており、かつ1つ1つの対応がすべて「本番」なので、安定的に高い品質を維持することがとても大変です。そのため、「システムで手助けできることをどんどんやっていく」という考えのもと、自社のサポート業務に合わせた改善を続けています。

textlintを使った自動校正などはもちろん、細かいミス防止の仕組みを入れていくことで、普段のサポート業務の中で気を配る箇所を減らすことができ、それによって、より本質的な部分に集中しやすい環境を作っていっています。

また、エンジニア視点では、board本体よりもずっとシステム規模が小さいので、技術的な実験台としても使っており、「サポートシステムで先行導入して良さそうであればboard本体にも導入する」という流れができつつあります。

IRQuA事業

2022年4月に、大学IR向けのサービス「IRQuA(イルカ)」というサービスをリリースしました。

大学IR(Institutional Research)という分野に特化したサービスで、大阪大学 スチューデント・ライフサイクルサポートセンター(SLiCSセンター)との共同研究から生まれました。

boardとはターゲットも売り方もまったく異なるサービスですが、弊社取締役の津久井の学会発表などもあって、順調なスタートが切れました。

boardに続く事業の柱になっていくと良いなと思っています。

ちなみに僕は、IRQuA事業にはほぼ関わっておらず、相談があれば壁打ち相手をする程度。あとは、非公式キャラクターを作ったのですが、なぜかなかなか使ってもらえません。

受託事業

受託事業は、最近は開発系よりもデータ分析系の方がメインですが、前期はIRQuAの立ち上げもあり、やや抑え気味でした。
データ分析系は大学のお客さまが多く、開発系はここ数年と同様、新規のお客さまの仕事は受けておらず、既存のお客さまの追加開発が中心です。

受託とIRQuAをやっているメンバーがほぼ同じなので、バランスを取りつつやっていきたいと思います。

また、純粋な受託ではないですが、レベニューシェアの案件が1つあり、これも一定の事業規模になってきています。

採用

前期頭(2021年12月)に入社したメンバーの採用が決まった以降は募集を出していなかったため、昨年はとくに動きがありませんでした。

ただ、CSチームを4人体制にすべく、今年・来年あたりに、1名採用する方向で準備中です。

バックオフィス経験者、とくに小さめの会社で経理・総務など幅広くやっていたことがある方を募集したいと考えています。詳細は後日公開しますので、ご興味のある方がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡ください。

各種活動の支援

2019年からカラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)、2021年からGitHub Sponsorsを通じたOSS開発者の支援などを行っており、昨年もこれを継続していました。

今年に入って、RubyアソシエーションのGoldスポンサーになるなど、普段お世話になっているものを中心に、引き続き支援をしていきたいと思っています。

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まとめ

弊社はもともと受託開発の会社でしたが、boardの成長とともに、現在は、売上の約85%ほどがストック型の売上になり、売上構造が大きく変わりました。

労働集約型の売上の割合が減ったことにより、ここ数年、より働きやすい環境にすべく、「勤務時間を1時間短くする」「有給は入社初年度から20日」などの改善を行いました。
仕事面でも、スケジュールに迫られることが減り、「通常よりもう少し時間をかけて品質を上げる」ということができるようになっています。

その上で、それなりにしっかりとした額の賞与も出せており、これを継続できる経営基盤が整いつつある状況です。

うちのような小さい会社は、知名度や、人・金などのリソース量ではなかなか勝負できません。1つ1つのクオリティで戦っていくしかないと考えているので、提供するシステムやサポートなどの完成度をより上げていくことに対して、継続的に投資していきたいと思っています。