ヴェルク - IT起業の記録

受託開発と自社サービスの両立への取り組み

サービス開発の中で、ユーザーが体験しているであろうことを日常的に体験するための取り組み(というほどでもないちょっとした心がけ)

ちょっとした心がけというか習慣というか、そういうふわっとした話です。

サービスを開発・運営していると、様々な使い方、捉え方、考え方、ニーズに日々接します。そのため、仕様やUIを考えたり、サポート対応をしたりする中で、色々なケースを想像できること、想像の引き出しが多いことはとても重要になると思っています。

ただ、自分の周辺以外のことを想像することは本当に難しくて、普通にやっていると、どんどん狭まっていってしまう気がするんですよね。そのための対策というか心がけみたいなものです。

もちろんすべてを考慮して実装することはできないものの、想像すらできていないのと、多くのケースを想像した上で検討した結果だとだいぶ違うと思っています。

ユーザーテストやドッグフーディングなどの取り組みもありますが、今回はそういう話ではなく、自分自身が日常的にやっている、ちょっとした取り組みについて。

ちなみに、僕自身、boardというサービスのプロダクトオーナーであり開発者でもあって、その中で個人的にやっていることになります。

「自分の操作パターン」が固定化しないようにする

自分の手癖だったり、好みだったり、何か繰り返し操作するようなものは、自分に合わせて最適化された使い方が出来上がっていったりすることが多いのではないかと思います。

普段、テストをしたり、ユーザーとしてboardを使ったりする中で、そういう「自分のやり方」を極力せずに、日常的に色々な方法・環境で操作するようにしています。

たとえば、

  • 「クロスブラウザーのテスト」ではなく、日常的に、色々なブラウザーを通常利用してみる
  • 普段Macなので、開発以外のことはWindowsでやる日を作る
  • M1 Macが快適すぎるので、Windows端末はごく標準的なスペックにする
  • 普段Gmailを使っているので、それ以外のメールサービスやメールソフトを使ってみる
  • 全角数字、半角カナなど普段自分で入力しない文字を使ってみる
  • 普段マウス操作するところをキーボード操作してみる(その逆も)
  • ブラウザーの入力補完をON/OFF切り替えて使ってみる
  • 普段1Passwordを使っているので、ブラウザーのパスワード保存を使ってみる
  • サポート対応時にヘルプを参照することが多いが、ヘルプを探す操作を変に効率化せず、ユーザーさんと同じ方法でヘルプ検索したり、カテゴリーから探したりする
  • 一般的な操作・挙動を変えないよう、ブラウザーの拡張や便利ツール的なものは極力使わないようにする

などなど、全然大したことではないのですが、普段と異なるやり方や環境で日常的な操作をする、ということをやってたりします。

意図したテストケースではない、気づくきっかけ

これによってすごくメリットがあるということではないのですが、思いがけず、ちょっとしたことに気づいたりすることがあります。

用意したテストケースは、何かしら特定の目的があって作られたものなので、想像できていることしかテストできません。「色々な使い方を探索するテストをやるよ」という方法もありますが、そのための時間の確保は後回しになりがちです。そのため、日常的に、想像できていないことに気づく「きっかけ」を作っているという感じです。

普段の自分の慣れた操作や環境と異なることをやることで、ちょっと手間だったり面倒だったりしますが、それによって、何かに気づくきっかけが得られるのであれば、そのちょっとした手間・不便さは大した問題ではないなと。

その気づき自体が直接サービスの改善に繋がることもあるし、サポート対応の中で、質問者の状況がわかりにくいときにアタリがついたり、どこかで役に立ったりすることがあります。

もちろん、網羅性のある取り組みではないのですが、色々なケースを想像するのは本当に難しいし、それを継続することはもっと難しいので、日常的にこういうことをやることによって、様々なケースを想像するトレーニングをしている、経験値を貯めているようなイメージです。