ヴェルク - IT起業の記録

受託開発と自社サービスの両立への取り組み

受託の会社が自社サービスをリリースして4年が経った現在地

8/19でboardの正式リリースからちょうど4年が経ちました。

有料アカウントは1500社を超えたところで、会社全体の売上の4割ほどにまでに成長してきました。
単価が安いサービスなので、1500社でやっと4割かという感じがします。

現在、boardにフルタイムでアサインしているのは3人で、エンジニア1名、CS1名、自分がプロダクトオーナー&開発者&CSといったメンバー構成です。

他のメンバーは受託を軸にスポットでboardに入ったり、総務をしながらテストをやったりといった感じで兼任しています。


boardに対するスタンス

これは当初から変わらず、「boardだけでやっていくぜ!」という感じでもなく、急激な成長を目指すわけでもなく、自分たちにできることを自分たちのペースで、着実に続けています。

相変わらず営業もマーケ担当もおらず、ようやくCS専任のメンバーが入り、僕の手が離れつつあります。
まさか、4年目まで、有料アカウントが1000社を超えても社長が1人でCSやることになるとは思ってもいなかったですw

*ちなみに、昨年夏頃からさすがに1人だときつくなってきたので、問い合わせが多い箇所の改善などを続けたところ、導入社数が倍増しても問い合わせ数が横ばいだったので、そういった改善も大事だなと思いました。

 

ここ1年以上、外向けの活動はほとんどできておらず、日々、ひたすらサポート・個別相談会・開発をやっている状況です。
なんせ、僕の今年の交通費精算、まだ片手で数えられる数ですw
そのくらい引きこもってサポート・開発だけをやってます。

「いいもの作れば売れる」という時代ではないのは重々承知ですが、小さい会社は知名度や露出では戦えないので、サービスそのものでは負けない完成度にしようと、地道に改善を続けています。

ちなみに、リリースの回数は以下で、毎年同じようなペースですね。
2014年:25回
2015年:36回
2016年:43回
2017年:49回
2018年:27回(8/19現在)

初期の頃から続けている開発ロードマップの公開や、サポートの回答時間の中央値の公開も続けています。

 

そして、「新規獲得より既存ユーザ」というスタンスも変わらずなので、サポートを一番大事にしていて、全回答時間の中央値は現在でも10分を切っています。

最近のカスタマーサクセスの流れとは真逆ですが、「来た問い合わせに全力で対応する」という受け身のスタンスで、ただ、そのやり取りのクオリティの向上にひたすら取り組んでいます。(これについてはまた別の機会に書きたいと思います)

 

boardはこんな感じで、何か特別なことをするのではなく、粛々と地道な改善を継続していて、すごくありきたりですが、やはり「継続すること」「1つ1つのレベルを上げること」が大事だなと思っています。


受託

boardがかなり成長してきましたが、引き続き受託もやっています。

まだboardだけでは売上が足りないというのもありますが、受託の方が好きなメンバーもいるし、boardだけやっていると引き出しが少なくなってしまうので、今後も受託は続けていくつもりです。

ただ、昨年から僕がboardのサポートにかかりっきりになって受託に入れなくなってしまい、受託は実質3人で回しているので、お待たせしたり、お断りすることが増えてきてしまっています。

とはいえ、人数をどんどん増やすつもりはなく、「10名前後まで」と考えているので、悩ましいところです。

 

勤務時間の短縮

今期から勤務時間を1時間短くしています。

元々、社員のみんなはほとんど定時で帰っていたし、boardの成長に伴って労働集約的な割合がぐっと減りました。

そのため、勤務時間を1時間減らしても、特に売上にネガティブな影響はありませんでした。

ちなみに、勤務時間が短くなったことについて、社外の人からは色々リアクションをもらうのですが、社内のみんなはわりとノーリアクションなのがうちの会社っぽくて面白いですw

 

会社の人数を増やさないという方針

今に始まった話ではないですが、今まで以上に、「人数をどんどん増やすことはしない。10人前後まで」という方針を明確にして、そのための取り組みに軸を移しています。

boardの問い合わせを減らすための改善や、こちらから営業的なことをしない方針など、とにかく可能な限り人が動く・介在することを減らしていくようにしています。

boardにフルタイムで関わっている3人なので、3人で1500社を回せているのは十分効率的だとは思いますが、ここはもっと追求していきたいと思っています。

そのため今後は、「導入社数が増えても運営に関わる人数を最小限に留めるための仕組み作り」がテーマで、自動化・安定性・問い合わせを減らすための改善などを今まで以上に力を入れていくことになりそうです。

 

経営的な変化

「売上の座布団を増やす」という言い方をしているのですが、ストック売上(納品がなくても毎月上がる売上)を増やす取り組みを5年ほど前から続けています。

基本的には、短期的な売上よりも中長期的な売上の仕組みを作っていくことを優先しています。

boardが一番大きいですが、それ以外も加えて、今期売上の65%ほどがストック売上になりそうです。

 

これは、受託の会社の経営的には本当に大きな変化です。

起業して1年目の頃にあった「今月売上が20万しかない!」みたいなことがないので、キャッシュフローに追われることがなくなり、より本業に集中できるようになりました。

個人でも会社でも、経済的な余裕がないとやれることが制限されてしまうと思っているので、そういう意味で、5年ほどかけて売上の座布団を積み上げていくという取り組みは、本当にやって良かったなと思っています。

 

今後

基本的に、大きくは変わらず、今のスタンスでやっていくつもりです。

boardに関しては、継続的に改善・機能追加を続けていきつつ、SRE・パフォーマンス・自動テスト・品質管理周りが今後の重要なテーマになりそうです。

 

会社の人数も10人前後までと考えていて、現在7人なのであと3人。
10人の会社で、1万社が使うサービスを回せたらいいなと思っています。

そして、こんな小さな会社で働いてくれているみんなにはもっと還元していきたいと思っています。

 

エンジニアもあと1〜2名は採用する予定ですが、のんびり考えているので、「まだすぐには転職しないけど、興味があるので話だけ聞きたい」くらいのレベルで全然OKですので、ご興味があればぜひ声かけてください。