ヴェルク - IT起業の記録

受託開発と自社サービスの両立への取り組み

10期振り返り

2020年11月に10期が終わったので振り返りです。

10年という区切りだったので、みんなで美味しいものでも食べに行きたいところだったのですが、コロナが落ち着くまではお預けだし、今のところ、10年という実感があまりないです・・・。

 

board

2020年9月17日に、boardの有料登録数が3000社を突破しました。

tamukai.blog.velc.jp


相変わらず、営業もせず広告も出さずに、地道にやっています。

小さなチーム、大きな仕事」のように、会社の規模や知名度でもなく、機能の多さでも華やかさでもなく、「10人の会社で1万社が使うサービスを目指す」というスタンスでやっているので、手を広げすぎずにやることを絞って、地道に、サービス(プロダクトそのものやサポート)を強くしていきたいなと思っています。

2019年のカラーユニバーサル(CUD)対応や、2020年のセキュリティ割引など、「直接的に便利になる機能追加」以外の部分にリソースを割けるようになってきたのが、とても嬉しいなと思っています。

tamukai.blog.velc.jp

tamukai.blog.velc.jp

 とはいえ、小さい会社なので、そういったことに割けるリソースは少ないのですが、たとえばアクセシビリティでは、freeeさんやSmartHRさんなどがかなり力を入れてやっているので、今後、アクセシビリティ対応がもっと当たり前になっていくと良いなあと思っています。

うちの場合は、CUD対応以降はこれといったアクセシビリティ対応はできていないのですが、CUD対応をした際にお世話になったNPO法人「カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)」の賛助会員は継続していて、今後も、最低限、そういう面での貢献は、微力ながら続けていきたいなと思っています。

セキュリティ関連は、board自体のセキュリティ強化は当然継続的に行いつつ、セキュリティ割引のような啓蒙活動に繋がるような仕組み・取り組みは、今後も何かしらやっていきたいなと思っています。

 

売上構造の変化

うちの会社は元々受託開発・コンサルの会社で、boardを始める少し前(2014年頃)から、売上に占める労働集約型の割合を減らしていくため、「売上の座布団を増やしていく = ストック売上を増やしていく」という方針を立てて、それから6年が経った前期は、約86%がストック売上で、完全に売上構造が逆転しました。

受託開発は、現在は既存のお客さんを中心にやっているため新規はストップしているものの、データ分析事業の方は、大学関連のお客さんを中心に順調に伸びています。

 

ストック売上の増加に伴い、短期的な売上はさほど気にしなくて良くなってきたので、その結果、中長期的にプラスになるようなことに対してリソースを割けるようになってきていて、個人としても会社としても、「時間の使い方」が変わってきたなという気がしています。

この「短期的な成果を追わない」というのは、社員のみんなにとっては、最初は戸惑うところみたいです。実際、何人かから聞かれました。

 

最近、「自分が短期間で開発できるものは、他の人もすぐに開発できるものなので、差別化にならない」と思っていて、新規の立ち上げフェースならスピードは大事ですけど、そういうフェーズではない場合、かけた時間なりの完成度にしかならないのかなと思っているので、事業とのバランスを取りながら、少し意識的に時間をかけることをやってみてたりします。

 

また、労働集約型の割合の低下に合わせて、ここ数年で「勤務時間を1時間短くする」「有給は入社初年度から20日」などの改善を行いました。

この辺の改善は、身近なところで時雨堂のVさんの影響をかなり受けています。

 

採用

「会社の人数は10人まで」という目安を置いていて、2020年1月に2人入社したことで10人になったので、一旦、完全に採用をストップしました。

ここ数年、とても良い採用ができていて、ありがたい限りです。

 

色々な人から、「boardはサービス自体が強いので、ガンガン採用して一気に攻めれば、もっともっとboardを伸ばせるのに」といったことを言われたりするのですが、そういうスタンス・志向で会社をやっていないので、方向性の違いですかね。

小さい会社だと、リソースが非常に限られているのでできないことは山ほどあって、中途半端にならないよう、やることをかなり絞っているわけですが、会社が大きくなれば、作りたいものを作れるかと言えばそうでもないと思っていて、事業としてマスを取りに行っているわけではないので、こういうやり方も良いんじゃないかなと思っています。

以前からとくに拡大志向がなかったのですが、「小さい会社のままでいいんだ」って心の底から自信を持って思うようになったのは、実はここ数年なんですよね。以前は、そうは思っていたものの、言い切れなかったというか。

 

あと、今年、採用を完全にストップして気づいたのですが、「採用プレッシャー」がなくなって、事業により専念できるようになったなと感じました。
小さい会社にとっての採用は、やはりとても難易度が高くて、あと、たぶん自分が決して得意ではない部分なので、すごく苦労はしていて、それがなくなったのはとても大きかったです。

今後一切採用をしないかと言えばそんなことはなく、誰かが辞めれば採用するだろうし、一応目安は10人だけど、良い縁があれば採用するかもしれないし。実際、最後に入ったエンジニアは、募集を出していないタイミングで連絡をくれて、結果的に入社してもらうことになったし。

現実的には、CSチームに関しては、ユーザ数の増加に伴って、どうしても問い合わせは増えていくので、どこかのタイミングでは、増員することになるだろうなとは思っています。

ただ、問い合わせをしなくて済むような改善は常に行っていて、現在でも原則は僕がすべて問い合わせは目を通していて、その中から「ここを改善すればこの問い合わせはなくせるな」というものを拾って行っています。

その結果、ユーザ数の増加に対して問い合わせの増加はかなり抑えられていて、現在、有料3200社弱をCS3人で対応していて、かつ、1人は余らせる運用をしていたりします。

 

CS以外には、QAは欲しいし、できれば自分以外に個別相談会などの対外的な活動をする人は欲しい。

いないと回らないという感じではないので採用活動はしていないですが、QAや個別相談会など、自分がやっている役割をできる人と、いつか縁があればいいなと思っています。

とはいえ、拡大路線を取らないことには変わりはないので、人数を増やさなくても安定して開発・運営していけるようにしていっています。

 

オフィス移転

コロナウイルス感染防止のため、昨年の2月下旬から、原則は在宅勤務にして現在も継続中です。また、当面はこういう状況が続くことを想定していて、昨年11月末に半分ほどの広さのオフィスに移転しました。

前の九段のオフィスは、周囲の環境も良く、DIYで作ったオフィスもとても気に入っていたので、ずっとあそこにいるつもりだったのですが、もともと20人以上入るスペースに10人で使うという贅沢な使い方をしていたこともあり、さすがにこの出社頻度だともったいないなということで、移転することにしました。

これまで、オフィスの内装は毎回DIYで作っていて、「DIY オフィス」で検索すると、今でも九段に移転した際のブログがトップに来るなど、かなり頑張ってDIYで作ってたのですが、さすがに今回は、みんなで集まってやる状況ではないので、オフィスの移転でいつもお世話になっているヒトカラメディアさんにお願いしました。

ちなみに前回のDIYの様子。

tamukai.blog.velc.jp

 

今回のオフィスで1番の変化としては、1人1席ではなくなった点ですね。全員が出社することは想定しない設計にしました。

こういう状況で出社頻度も低いので、オフィスの内装にはまったくお金をかけない選択肢もあったのですが、将来的にもオフィス自体を無くす(完全リモートにする)ことは考えておらず、たまには直接会うことは大事だなと思っているので、気分を変えて仕事をしたり、他のメンバーと話したい時などにふらっと出社できるよう、「いつでも使える居心地の良い空間」を目指しました。

秋葉原駅前徒歩1分な上に家賃が半分になり、内装も居心地の良い空間になったので、個人的にはとても満足度が高い移転でした。

 

まとめ

前期は、コロナもあって、非常にイレギュラーな年だったなという印象で、10期が終わった感覚もあまりないのが正直なところだったりします。

幸い、うちは今のところコロナの影響は限定的ですが、気を緩めず、今期も引き続き、地道に着実に、やるべきことをやって、事業やサービスを強くしていきたいなと思っています。

何事も、焦っても早くならないし、急にできるようにならないし、やった分しかできるようにならないし改善しないので、安定的して継続的に取り組めることが、最終的には強いと思っています。

とくにboardをやるようになってからはそういう思いが強くなっているので、焦らず、でも着実にやっていこうと思います。

 

*余談ですが、昔は、一気にガッとアクセルを踏んでやるのが好きなタイプだったんですけど、だいぶスタンスが変わったなあと。